この世界の片隅に 方言で気づいたこと
流行に二歩くらい遅れて乗るのが得意です。
「この世界の片隅に」大ヒット映画になってしまいましたね。
いい映画が真っ当に評価されるのはいいことだと思います。
そういった批評めいたものは散々いろんなところでやっているので…
と書かざるを得ない弱小ブログです(笑)
そんなことはさておき、私も作品を見ていてちょいとばかし感じたことがありまして。
表題の通り方言のことなんですが、
声優さんの方言がどうとかいうわけではありません。
■広島の方言への思い込み
これは他県の人間ならある程度仕方ないことではあるかもしれませんが、
仁義なき戦いにそうとう影響されてたんだなと(笑)
広島といえば、〜じゃけぇ、というような菅原文太的なイメージ一辺倒で、実際にどんな言い回しをするのかなど全く知りませんでした。
この映画で、広島や呉の方言を聞き、本当の広島の言葉に触れたような気がします。
■広島の方言とある地方の方言が酷似?!
映画の中で、すずさんが「〜しとりんさる(ん)」というような言い回しを何度もしていたのですが、
この言い回しを聞いて私はかなり驚きました。
この言い回しは兵庫県の北部、養父市あたりの言葉にそっくりなんです、というかそのままです。
しとりんさる、は丁寧なことばで、標準語にすると、してらっしゃる、とでもなりましょうか。
さる、という尊敬の助動詞がポイントです。
しとりんはするという意味のしとるが変形したもので、しとるに、さるがつくとき、しとりさる、の間にん、がつなぎとして入ったのではと考えています。
もしくは、しとりなさるのな、が変形したとも考えられますが、兵庫県北部には同様の助動詞に「なる」があります。
なるの場合、しとんなる、となり、なさるの変形とは考えにくいです。さる、でもしとんさる、と使うこともあります。なので近い地方で同様の使い方をするさるは、おそらくなさるの変形ではなく、さる単独のものではないかと考えます。
■同心円状に広がる方言
とにかく、広島と兵庫北部という離れた地域で同じ言葉が使われていたことに驚いたわけですが、
やはり、これって柳田國男の方言同心円論の証明になるんじゃないでしょうか。
かつて、探偵ナイトスクープで全国アホバカ分布図が作られた時、京都を中心に時代ごとの言葉が伝播していったことがよくわかりました。
また、言葉も山を越えるには時間がかかったりすることも。
今回のしとりんさるで考えてみると、
京都からの距離は違いがあるのですが、
しとりんさるが北に向かって山を越えようとしている間に西は広島まで伝わったのではないでしょうか。
そう考えるとなんだか感動すらおぼえるわけでして、そういう意味でもこの映画を観てよかったなと思うわけです。
ちなみに、兵庫北部では、豊岡劇場で上映されているようです。映画館がもともと少なかったうえに、閉館も相次ぎ、おそらく、兵庫北部ではここしかないのではと思います。
但馬のみなさんはこの映画の方言を聞いてどう思われたかなあと検索してみるも、なかなか出てこないので、今回このエントリーを書いてみました。
但馬の人たちは奥ゆかしいのでしょうか(笑)
但馬の方でまだ見ていないという方は言葉の意味でも是非見ていただきたいです
引き続きよろしくお願いします